トップページ > 労働者派遣法と人材派遣の沿革

労働者派遣法と人材派遣の沿革

派遣というのは自由にできるものではありません。労働者派遣に関しては労働者派遣法という法律の下、業種などの制約を見た上で行われるようになっています。
そして1985年の制定からそして2004年の改正がなされ派遣のあり方というのも変化していきました。
ここでは、労働者派遣法の沿革、そして人材派遣の歴史について見ていきます。

 ◇人材派遣の始まり
 そもそも、人材派遣という言葉は新しいものです。しかしながら、江戸時代の口利き屋などもその内容は人材派遣と言っていいものであるので、日本では人材派遣を受けれるだけの土壌は会ったといえます。
 近年の様な形になったのはアメリカのマンパワー社が1940年代に始めたものです。そのマンパワー社が昭和41年に日本進出をしたことで、現代の人材派遣の歴史が始まりました。

 ◇当初の雇用形態
 当初、人事派遣会社は民法に記載されている「請負契約」に基づき、事務処理をするための請負業として人材派遣を行ってきました。それは雇用安定法において人材派遣の内容(人を集めて派遣先の指示に従って労働をさせる事)が規制されていたからです。
 そのような抜け道の中で「派遣」は不安定な存在としてありました。

 ◇労働者派遣法の制定
 実態としては「派遣」でありながら「請負契約」としてまかり通り、それに加えて高度成長期から始まる日本経済の発展が人材派遣の需要を拡大。もはや人材派遣は周知の事実となりました。労働省は「請負契約」と「派遣」の線引きをするために昭和60年7月、労働者派遣法を公布しました。
 加えて「昭和61年労働省告示第37号」によりその区別がよりはっきりとしました。

 
 ※派遣と請負の違い
 労働者派遣法と労働省告示によて決められたその違いは次のようになります。
 それは「仕事の指示が派遣先か、請負先か」ということです。業務の指揮命令権は派遣であれば派遣先の企業が担うことになります。対して請負の場合は雇用契約を結んでいる請負業者がその指示をすることになります。
 また、請負の場合、製造・作業工程の一部を完全に請け負うので高い作業効率と安定的な供給を期待することが出来ますが、派遣は人手不足の部署に短期間だけという形で優れた人材を投入できます。

 ◇労働者派遣法の制定後
 法律により、人材派遣は26業種という制約があるものの、企業によって使われてきました。その流れがさらに加速するのは90年に起こったバブル崩壊です。
 それまで公共で拡大しつつけた日本経済は大打撃を受け、その傷から回復するために人的コストの削減、リストラなどを敢行してきました。そして不足した人材を安上がりな人材派遣に求めるようになったのです。
 そらに、いわゆるハローワークと呼ばれる公共の職業安定所にも人材派遣の紹介が行われるようになりました。それにより、労働人口における派遣社員の割合は格段に増えていくことになったのです。
 
 派遣人口
 1994年:437,000人
 1995年:469,339人
 1996年:572,421人
 1997年:695,045人
 1998年:749,635人

 上の人数の推移を見てもらうとわかると思いますが、90年の半ばから飛躍的にその人数は増えています。
 働くことのスタイルの変化もあるのかもしれませんが、社会としても正社員よりも派遣社員を求めていることがわかるでしょう。

 ◇労働者派遣法の改正
 人材派遣の成長に従って、規制する法律の緩和も1997年から行われてきました。
 そして2004年の改正により、さらなる緩和がおこなれました。

 改正のポイント
 ★派遣期間の延長
 ・・・一般業務の期間を1年から3年へ、従来の26業務は期間の撤廃、「土日、月初」のみの業務は期間の撤廃
 
 ★対象業務の拡大
 製造業への派遣解禁。(ただし施行後3年間は1年間の派遣期間にする)

 ★派遣先の労働組合から意見を聞く、雇用申し込みの義務化
 1年以上3年未満の派遣は、派遣先の労働組合に意見を聞くことを義務化。また一般業務の業務が期間を超えて派遣労働者を使用するときには雇用契約の申し込みを義務化。従来の26業種の場合は3年以上の場合に雇用契約の申し込みを義務化。

 ★紹介派遣の明文化
 正社員もしくは契約社員としての雇用を前提とした紹介派遣を行う場合、派遣期間は6ヶ月以下にすること。

 ◇規制緩和の影響
 これにより様々な市場への派遣労働者の投入が可能となり、また期間の延長により安定した雇用に近づくことが出来ました。さらに、人材派遣会社においても紹介する仕事が港湾運送業務、建設業務以外の職種を扱うことが出来るようになったことで事業規模の拡大を計ることが出来、手数料の規制もなくなりました。
 今まで人手不足であった業種にも長期の派遣が可能となったことで、団塊の世代問題に悩む企業にとっては朗報といえるでしょう。

 ◇派遣の拡大がもたらしたもの
 派遣の拡大、及び制度の充実は派遣でいることに対しては、確かに良い環境作りとなりました。しかし、雇用の変化がそのまま社会にいる将来を担うはずの若者の心理にも影響を及ぼし、正社員で安定的な雇用へのこだわりをなくしてしまいました。その結果、終身雇用は形骸化し、長期的に企業を支える人材の欠落を招いています。
 皮肉にも企業が現在の利益を優先させたことで、将来の人的な問題を作り出したことになるのです。
 
 
 ☆派遣の需要拡大は、ひいては経済の枯渇を意味するものです。なぜなら、いかに派遣の待遇が良くなろうとも正社員の生涯年収と派遣社員の生涯年収を比較すればどちらが多いかは自明の理です。年収に差があることは、ひいては市場を流通する富においても差が出ます。派遣が多くなることは市場に富が回らなくなるのです。
  ケインズの需要と供給の理論でわかるとおり、個人消費の需要がなければ、供給は過剰供給になるだけです。
  最近では団塊の世代の穴を埋めるべく、派遣社員を正社員に雇用する企業も増えています。私は不況からの脱出と安定的な経済の実現のためには、派遣社員の割合をいかに減らしていくかということが問題だと思います。
  そのためにも、政府が、いかに派遣社員を正社員にできるような道筋をとるかが問題だと感じます。